帰国直前ですが、スイス最後の旅行を兼ねてジュネーブにあるCERNとティチーノ地方に来ています。という事で、今日はCERN(欧州原子核研究機構)(
場所,
HP)の見学報告です。アクセスですが、ジュネーブの18番トラムの「CERN」で下車して、徒歩1分くらいのところに受付があります。
理系(特に物理や素粒子関係)では「聖地」と言えるような研究所なので、僕もスイスにいる間に是非とも行きたいと思っていたのですが、何とか帰国前に間に合って何よりでした。
さて、CERNでは日曜・祝日を除いてほぼ毎日ガイドツアーが開催されており、
こちらのサイトから予約を入れることが出来ます。ガイドツアーには、英語とフランス語のどちらかで申し込めるのですが、当然僕は英語で1月くらいに申し込みました。CERNのガイドツアーは、かなり人気があることもあり、2,3ヶ月先までほとんど予約が埋まっているので、相当前の段階で予約を入れておくほうが良いかと思われます。
また、CERNの敷地や建物はスイス・フランスの両方に跨っているために、ガイドツアーに参加する場合はパスポートが必要になります。
さて、CERN到着後に受付のお姉さんに「本日のガイドツアーで来たのだけど」と言うと、名札が渡されて10時半にこの場所に集合してと言われました。なお、僕は大きなリュックサックを背負っていたので、「この荷物をどこかに置く場所ない?」とお姉さんに聞いたところ、お姉さんが近くの物置みたいなところに連れて行ってくれて「ここに置いていいわよ。」と案内してくれました。(もちろん会話はすべて英語でOK)
とりあえず大きな荷物の持っている方は、ジュネーブ駅のロッカーを利用しなくてもCERNの受付で預かってくれるみたいです。
ガイドツアーですが、まずはCERNの歴史や過去の偉業を紹介するビデオを30分くらい見ます。その後受付の外へ出て、↓画像のように加速器の模型や謎の球体の脇を通り抜けて、ATLAS(A Toroidal LHC ApparatuS:トロイド型LHC観測装置)の司令室を見学します。



なお、謎の球体はCERNにまつわる実験器具や機会等の展示スペースになっており、ガイドツアーが終わった後に各自で入館することができます。現在、ATLASは2年間のメンテナンス期間中となっているのですが、司令室から各メンテナンス作業員に指示等を出しているそうです。なお、現在は司令室に人があまりいない状態ですが、実験期間中はこの司令室にかなりの人数が詰める状態になるそうです。
その後、僕らはCERNの最近の発見に関する30分くらいの3Dビデオ(主にヒッグス粒子関連)を見た後に、Q&Aを経て解散となりました。
また、受付の下にもプチ博物館みたいなものがあり、そこで素粒子の基本を勉強する展示物がたくさんあるので、そこも見てみました。↓画像みたいに、実際の粒子加速器のレプリカも展示してあり、非常に興味深かったです。

今回の見学の印象ですが、やはり最近のホットなトピックとして、昨年ノーベル賞を受賞したヒッグス博士とヒッグス粒子に関する話が多かった気がします。質量の起源になるヒッグス粒子とヒッグス場ですが、ガイドツアーのツアーコンダクターは、光子以外の素粒子はヒッグス場から相互作用を受けることで質量を獲得したが、光子はヒッグス場と相互作用しないので質量がないと説明してくれました。ここで僕は、重力と電磁気力の及ぶ範囲が無限遠になる(つまり、それぞれの力を媒介する粒子の質量が0)という事は、重力子(まだ発見されていませんが)と光子はヒッグス粒子とは相互作用しないわけね、と納得。確かに、電磁気力の場合は「クォーク」と「レプトン」が正負電荷の最小単位ではあるけれど、重力の元になる各物質の質量についてはどのように決まるかがわかっていなかったので、40年も前に「各粒子の質量はヒッグス場との相互作用の強さで決まる」と見抜いたヒッグス博士に感嘆です。
ちなみにこの日は、朝5時に起きてチューリッヒからジュネーブに向かったのですが、このガイドツアーが終わってすぐに今度はルガーノに向かいました。一日で10時間くらい電車に乗り続けたのも今回が初めてでした。
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